1ナノメートル以下の面粗さを研磨技術で実現する、宮城県の精密加工メーカーのティ・ディ・シー(TDC)が、先の9月末に東京ビッグサイトで開かれた「エヌプラス2016 – 材料と技術の総合展」に出展しました。TDCの基盤技術であり、幅広い材料(金属、セラミックス、結晶材料、樹脂…)に対応可能な独自の鏡面研磨を突き詰めると、平面、球面、パイプ内径などナノレベルで様々な形に精密加工することができます。今回は、公益財団法人みやぎ産業振興機構の「みやぎの中小企業マーケティング活動支援事業」のマーケティング委託先として、本年8月よりTDCに関わっています。
常にオーバースペックを狙うのがTDCのおもしろいところ。要求以上の仕上がりを狙う技術と企業姿勢に共感したクライアントが、自社製品・サービスの肝となる部分を任せたくなるのも分かる気がします。例えば、航空・宇宙分野にて小惑星探査機「はやぶさ2」のサンプル回収ボックスの内面鏡面加工も手がけており、ナノレベルの研磨精度を用いて、打ち上げ前に地球の微粒子が付着する可能性を排除しています。劇的な帰還となってしまった「はやぶさ」の轍を踏まぬよう信頼性を一義に日本で最高の品質を、と採用されたとか。
他を寄せ付けない精密な加工は様々な取組から成り立っていますが、一つ紹介するとオリジナルの研磨設備の充実です。精密機械を購入・導入しても、個々の素材によるブレや使っていくうちに発生する狂いを調整できないと、製品の精度は鈍っていくものです。TDCでは技術者が自作した治具が数多く使われており、どこをいじれば何が起きるか手に取るように分かるからこそ精度が出る、ということです。
▼ 材料と技術の総合展「エヌプラス2016」に出展 / 株式会社ティ・ディ・シー
http://mirror-polish.com/news/n-plus2016_nanoimprint/
▼ 「きらり この技」 河北新報に掲さ載 / 株式会社ティ・ディ・シー
http://mirror-polish.com/news/「きらり-この技」%E3%80%80河北新報に掲載/
下記の写真は、エヌプラス2016で展示されていたステンレス鏡面加工。
見慣れた愛機(GR)の液晶を見て、ゾクッとしました。カメラの細部、手の表面のしわや艶が、まるでそこに存在するかのようです。家に一台欲しい。卓上の鏡としてのぞき込むと、自分の顔色や日々の微細な変化も感じとれそう。民生用プロダクトとしては、お値段も桁違いとなりますが。やっぱり使ってみたいものです。